n o t i t l e
先日、祖母の家に行って来た。
90歳の後半に突入している祖母は、誰の世話にもなりたくないと祖父と暮らした屋敷でひとり暮らしている。
軒下にある腰掛けに座って上を見上げると、ツバメが巣を作っていた。
巣から出ては電線にとまり、にぎやかに鳴いている。つがいで話をしているように聞こえた。
祖母は毎年来ると言っていたが、私は初めて見たような気がした。
屋根の軒の部分に取り付けられたアイロンの底の上に巣はあって、昔、縫い物の内職をしていた祖母の愛用していたものを、使えなくなったので祖父が取り付けたのだ。
たまたまなのか…
それとも、戦争から帰って来て心臓が弱っていた祖父が、自分が死んだ後寂しくないようにと、祖母を想って付けたのか…
祖父が亡くなって25年あまり、今日もツバメはそこにやって来る。
どちらにしてもじーんときた。
自分はこのようなものは残せないだろう…
songbird coffee.KURATA